自筆遺言書での花押は無効(最高裁)

民法は自筆遺言について厳格な要件を定めていますが、その一つが署名に続く「押印」です。

拇印の有効性については、昭和年代までは下級裁判の判断が分かれていました。

そして、平成元年2月16日の最高裁判所の判決で、拇印を押印として認める判断が示され、拇印については一応の決着がつきました。

次に自筆遺言の有効性が争われてきたのが、「花押」をめぐる論争です。

花押は押すのではなく、書くのだから署名と言えるかどうかの問題であって、押印には当たらないとか、印章の代わりに書いて押すので押印の一態様であるとか、甲論乙駁でした。

このたび、那覇地裁は、「わが国では文書作成者の特定に花押が用いられてきた歴史がある」として、花押による遺言書も有効であると判断しました。
しかし、最高裁では、無効と判断され、この論争に決着がつきました。
遺言者が死亡したのは2003年ですから、遺族の兄弟3人が遺言の有効性を巡って対立し、話し合いがつかず訴訟に持ち込まれた末、判決が出たときは遺言者の死後11年がたっています。

遺言は、相続をめぐる骨肉の争いを未然に防ぐための制度です。自筆の遺言は本件のように、とかく紛争の火種になりかねません。遺言は意識の鮮明なうちに、公正証書によって作っておくのが最良です。

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